大腸は大きく結腸と直腸に分類されますが、日本人の大腸がんは、約70%がS状結腸と直腸に発生することが知られています。良性のポリープががん化することで発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものに分かれます。S状結腸と直腸にがんが多い理由は、便がたまっている時間が長いためと言われています。大腸がんは1970年代以降、急速に増えています。
がんの死亡率 年次推移
国立がんセンターの研究では、赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取、飲酒、喫煙により大腸がんの発生する危険性が高まるとされています。
特に食生活の変化が大腸がん増加の原因と言われています。近年は動物性脂肪や動物性たんぱく質の多い食事が増え、一方で食物繊維やミネラルの摂取が減少しています。その結果、腸内細菌が有毒物質を出し、発がん物質へと変化し、大腸がんが発生しやすいのです。40歳代以降は大腸がんのリスクが高まるので食生活には要注意です。
また大腸がんは遺伝的な要素も強く、大腸がん患者の約25%は「家族性腫瘍」と言われています。自分の家系にがん患者が多く、血縁者の2人以上に消化器系のがん患者がいる場合は、定期的な検診を受けた方がよいでしょう。
大腸がんを防ぐ10のポイント
■過敏性腸症候群
ストレス、不安や緊張によって自律神経の働きが過剰になって起こる病気。腹痛や下痢、便秘などの症状が出る。
■大腸憩室(だいちょうけいしつ)
大腸の内側の壁が一部外側に向かって袋状になって飛び出す病気。高脂肪、高たんぱくの食事が原因とされる。
■潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜がただれたり、潰瘍が出来る病気で、血便や腹痛を伴う下痢などを起こす。根治が難しく難病に指定。
■クローン病
消化管に炎症や潰瘍が起こる慢性の病気。腹痛と下痢、発熱や下血を伴い、切除しても再発を繰り返す。
大腸がんはステージⅢまでは生存率が高いがんとされています。それだけに、検診による早期発見が何より重要です。
大腸がんの検査といえば、まずは「便潜血反応検査」、いわゆる検便です。しかし便潜血反応検査だけでは大腸がんと確定できないため、異常があった場合はより詳しい検査が必要となります。大腸がんを詳しく調べる検査は、さまざまな種類があります。
大腸がんの有無を判定するには、大腸内視鏡が有効ですが、肛門からカメラを入れることに不安を感じる方も少なくありません。西台クリニックでは、便潜血反応検査と腫瘍マーカー検査に、全身(目のくぼみから大腿骨上部まで)のがんを一度にスクリーニングできるPET/CT検査を同時に行うことで、大腸がんの早期発見を目指します。
PET/CTを年に1回、大腸内視鏡検査を2~3年に1回受診するのをおすすめしています。