自治体などで行われる5大検診
科学的にがん検診の効果が証明されており、国が推奨しているがん検診には以下の5種類があります。各自治体から委託を受けた医療機関で受診することができます。対象となる年齢や実施時期などは自治体によって異なります。また検診費用は自治体や加入する健康保険組合などにより補助があります。詳しくは居住されている自治体までお問い合わせください。
胃がん検診
【胃部X線検査】
いわゆるバリウム検査です。胃を膨らませる発泡剤とバリウムを飲み、検査装置の上に横になり、身体を回転させながら食道から胃、十二指腸までの様子を撮影します。臓器の形や胃壁の表面の凹凸が映し出され、その状態からがんや潰瘍、炎症などの病気がないか調べます。
【胃内視鏡検査】
胃カメラ検査です。口からカメラを入れる経口内視鏡検査と鼻から入れる経鼻内視鏡検査があります。TVモニタを見ながら、食道、胃、十二指腸の内部を詳細に見ることができます。経口内視鏡検査の場合、ポリープや腫瘍、潰瘍などが見つかった場合、その場で病変の一部を採取し、さらに詳細な検査を行うことができます。経鼻内視鏡検査の場合は、組織の採取などは行えませんが、口が自由に動かせるため、医師と会話しながら検査を進めることができます。
肺がん検診
【胸部X線検査】
胸のレントゲン検査です。息を大きく吸い込み肺を膨らませることで、肺全体の様子を映し出します。健康な肺の場合は黒く映り、心臓や肋骨は白く映ります。しかし肺に腫瘍や炎症がある場合は白い影が現れます。短時間で済み、X線による放射線被ばくはほとんどないとされています。
【喀痰細胞診】
3日間、朝に痰を採取し、その中に含まれる細胞を調べる検査です。気管や太い気管支に発生するがんを調べるのに有効な検査で、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人に推奨されます。
大腸がん検診
【便潜血検査】
2日分の便を採取し、便にまじった血液を検出することで、がんやポリープなどの大腸疾患を調べる検査です。大腸がんの死亡率を下げることが科学的に証明されており、40歳以上の方は毎年の受診が推奨されています。
乳がん検診
【マンモグラフィー検査】
乳房専用のX線撮影装置を使用する検査です。科学的に乳がんの死亡率を下げる検査として認められています。乳房を板で挟み込んで薄く伸ばした状態で撮影します。触れることのできない「微小なしこり」や乳腺にカルシウムが沈着した「石灰化」など、小さな病変を発見するのに優れています。乳房を強く圧迫するため、検査時には痛みを感じる場合があります。40歳以上の女性に、2年に1回の受診が推奨されています。X線による被ばくがありますが、1回の撮影で乳房が受ける放射線量は0.05~0.15ミリシーベルトで、ほとんど健康被害はありません。
子宮頸がん検診
自治体で行われる子宮頸がん検診は、問診、視診、内診、子宮頚部細胞診が行われます。まず問診で月経の状況や月経以外の性器出血の有無、妊娠の有無、これまでの検診受診歴などが聞かれます。次に視診でクスコという器具を使い、子宮頸部の状態を観察し、内診で膣の中に指を入れ、お腹を押しながら子宮や卵巣の大きさを確認します。細胞診は専用のヘラやブラシを使用し、子宮頸部の細胞をこすり取り、専門家が顕微鏡で調べます。20歳以上の女性に、2年に1回の定期的受診が薦められています。